「生涯のビジョンを掲げよう」
「生涯一社」の時代から、広い世界で勝負すべき乱世へ…。
今回から始まる新連載では、激変する時代環境の中でビジネスリーダーは、どのように能力を磨けばいいのかを解説していきます。
■人生をパワフルに渡るには
一度しかない人生を悔いなく歩むにはどうしたらよいのか。
ちなみに日本は、平均寿命が男女ともに世界一の長寿国だ。
企業での定年が60歳としても、まだその先に長いシルバーエイジが待っている。しかも今日は、会社がサラリーマンの定年までを保障してくれる時代ではないのだ。
先行きが不透明で変化の絶えない乱世に、我々は生きている。
ビジネスリーダーが、人生の長い行路を逞しく歩んでいくためには、極力早期に、生涯を貫く夢や希望を明確にし、形あるものにするよう自己開発をしていくことである。
よい大学を出てよい会社に入れば、エスカレーター式に役職、昇給、退職金までが保障された昔は去り、実力勝負の時代になったのだ。
競争力のある自分に成長するためには、仕事即ち能力開発の場と心得て、目標を定めスキルアップを楽しむ生活パターンを持つべきだろう。
■自分は何をやりたいか
人は皆オンリーワンの存在である。
自分でなくてはできないと思うことや、一生かけてこれだけは成し遂げたいという夢や目標に賭けてみて、実現を目指す生き方なら悔いは残らぬのであるまいか。
具体例になるが、私の場合人事教育コンサルタントおよび企業内研修の講師として、この道22年目のプロである。
その昔、大手鉄鋼企業でラインの管理職や新事業開発のプロジェクトリーダーの職務を経験するうちに、人間関係の難しさに悩み、話力アップのために、話し方スクールの門を叩いてやがてインストラクターになった。
そして話し方の研修や講師の仕事が面白くなり、好きなことをライフワークにしようと鉄鋼企業から独立し、山や谷を乗り越えて自営業で生きている。
「ビジネスパーソンに元気を与え企業の活性化に貢献できる講師・コンサルタントになる」というビジョンを心に描いて、実現の道をひた走る後半生は楽しいものだ。
もちろん人生にいわゆるビジョンを描いたからといって、達成するにはさまざまな紆余曲折がある。また挫折や仕切りなおしだってなくはない。
しかし、だからといって成り行きに任せ、将来への目標設定をしなければ、力強い人生は送れない。
自分で責任を持って決めた生き方だからこそ、ここ一番のときに踏ん張れるのだ。手を上げて志願した者の底力が明瞭になる。
■長期プランで生きる弾みができる
生涯のビジョンを現実化するためには、目指す能力を獲得しなければならない。
そのために自分の知識・スキル即ち能力資源を棚卸しし、目標に対する現状のギャップをできるだけ正しく把握すべきである。
プロの能力を開発するために長期のプランを立て、倦まずたゆまず実践して目指すゴールに到達する。
これこそ張りと充実感のある人生ではなかろうか。
そこで、一芸に秀でるための必要時間はどれくらいなのかというと、専門家の意見では5千から1万時間である。
やりがいの条件を心理学の立場から明示した、「無気力の心理学」(波多野諠余夫・稲垣佳世子共著)では、本当の意味の熟達者になるための所要時間を前記のように見積もっている。
そこで多い方の1万時間で考えた場合、こんな計算もできる。
年間250日(土日や他の休日を除く労働日)×8時間=2千時間
1万時間÷2千時間=5年
つまり毎日の仕事としてフルに取り組んだ場合で考えると5、6年で、“一芸に秀でる”域に達するようになる。
だが、必ずしも本業として取り組めないなど、いろいろままならぬ事情もあろうから、もっと多めに見積もったとして、倍の10年ならどうだろう。
例えば営業の仕事でも技術設計の業務でも、給料をもらいながら10年間一心不乱に行えば、ひとかどのものになると言えまいか。
■人生は終盤に花を咲かせよ
多くの人が夢を持ち、長い人生の海を渡る。
だが終盤にその夢が実り、輝く充実感を味わえる人はすべてではない。
人生に挫折も付き物なのだ。
実らなかった夢への後悔話は世間に跡を絶たない。
定年後も現役やボランティア活動など社会に貢献し続ける、或いはもっと早く自立のうえ会社を興すなどして活躍するためには、やはりできるだけ若い内からの決意に基づき、不断の努力を開始すべきである。
人生の終盤は突然にやってくるものではなく、50、60代になるまでに何をどのようにやってきたかの蓄積がものを言うからだ。 |